閉店

私の滑走日数は昨年の5分の1くらいに落ち込んでいる。そして,同じくらいスキー人口も減少しているのかも知れない。さらに,追い打ちをかけるように以前ほど豊富に雪が無いときもある。

私が学生時代から,スキーマテリアルにバイトに飲みにお世話になったお店がある。お店にだけでなく,そのお店の人たちにもすごくお世話になった。しかし,そんな世の流れを反映してか,そのお店が閉店した。そのお店は角谷スポーツ。角谷スポーツはスキーショップとしては有名で,わざわざ遠路はるばるそのお店の技術や商品を求めて足を運ぶ方々もたくさん居た。また,スキーをする学生サークルも角谷スポーツにたくさんお世話になった。しかし,そんなお店でも閉めてしまう時代である。スキーをする人口が減っているのはすごく悲しい。

スキーはシーズンスポーツ。四季を通じていつでも出来る訳ではなく,冬に雪が降って初めてできるスポーツ。だから,冬が雪が待ち遠しくいつも秋の終わりの空気を感じると哀愁と同時に雪の世界に焦がれる。スキーは自然のスポーツ。スキーを便利に楽しむリフトやピステンはあるが,道具を使って雪の斜面を克服するスポーツ。だから,青く美しい空に白く輝く雪がまぶしく,その景色に見とれながら斜面を滑り降りると,頬を通り過ぎる冷たい空気と視界を流れる青と白の綺麗なコントラストに爽快感を感じる。スキーは山のスポーツ。普段住む街から,タクシーに乗って気軽に行けるところでできるスポーツではなく,時間とお金をかけてたどり着きやっとできるスポーツ。だから,昼はゲレンデの斜面を雪を景色を空気を思いっきり楽しんで,夜は疲れていることも忘れて気の置けない仲間たちと酒を呑み明かし楽しむ。

このスキーの楽しさ・すばらしさは,経験した人としか分かち合えない。しかしその経験は,一度でもスキーを楽しむことが出来た人なら,誰でも持っているはずの物である。その一度でも楽しむことが出来た人たちを,二度目三度目と足を運んでもらうことが出来ない,スキーとはそんなスポーツになのか。それとも数えきれないほど滑っている我々がその魅力をちっとも伝えることが出来ていないのか。

ところで,最近人口が増えているのが,マラソンとジテンシャ。私もジテンシャを始めたうちの一人であるが,始めた三年前に比べるとさらにジテンシャ族が増えている。近頃話題のメタボの対策として,二酸化炭素排出による温暖化防止のために車/バス/バイクの代替交通手段として,昨年陥った原油高騰によるガソリン高が影響して,健康とエコと節約から始めたジテンシャが,いつの間にか高価なロードバイクに変身して,ヒルクライムやエンデューロやロードレースへと出場するようになるのである。それを反映して最近は大会申し込みをしようとしても,開始早々で定員締め切りなんてこともざらにある。それだけ急激にジテンシャ人口が増えているようだ。おそらくしばらくは放っておいても増えるであろう。

一方でスキー。夜はたくさん酒を飲む。しかもおつまみを食べながら深夜まで。これはメタボ一直線である。スキーをする為には車かバスか新幹線で長時間移動する。それだけ二酸化炭素を出さないと移動できないのである。そして長時間の移動にかかる金額もバカにならないのである。これだけ見るとスキーをすると健康とエコと節約からかけ離れて行くように感じてしまうのか?それを補って余りある魅力を伝えないことには,やはりスキー人口は増えないだろう。

そんなことを考えさせられた閉店だった。


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