スタートではパイロンにつまづき完全に出遅れたが,ここは追いかけるしか無い。と前へ前へと上がって行くが最初の橋の登りで前を見てもすでにtoRideジャージもwemoジャージも見当たらない。橋の下りでたけにいさんと同じタイプのMontbellのウィンドブレーカーを来た選手を発見。「いやぁ,,大変でしたよ。。。」と語りかけると,なんとその人は別人。恥ずかしくてそのまま素通り。
なんてことをしていても全く前に行った3人は見えず,ここで一旦落ち着いて登りで勝負と気持ちを切り替えた。海岸線の先の道路を見ても,先頭はそんなに離れていなそうだし。と,おもった二つ目のトンネル。入口すぐの選手たちが止まりそうな速度まで落としている。そしてさらに視線を先にトンネルの中を見ると,オフィシャルのバイクが旗を振って止まっている。そしてトンネルに近づくと,なんとたくさんの選手が倒れているのであった。自分の目の前でも一人,また一人と倒れていき,起き上がろうとした選手も自転車にまたがって再び転倒。どうやら路面は相当スリッピーのようだ。もうここまでくれば運の善し悪しで転ぶか転ばないかが決まるんじゃないか,そんな感じだった。しかし,なるべく転ぶ確率を低くするためにはどうすれば良いのかと頭を切り替える。そして,ハンドルもきらずブレーキも力を変えず,ペダルもこかずして前方を見ていると,センターラインを境に左右に転んで行くようだ。ということで,センターラインよりに進路を写してなんとか無事にトンネルをやり過ごす。しかし,トンネルを抜けて再び現実へ戻ると,集団ははるか彼方へ行ってしまった。。。
海岸線を見ても先頭集団はだいぶ先に行っている。そしてそこからずーーーっと一列に85kmクラスが続いているようだ。さすがにここは先頭を追わなくては行けない。しばらく気持ちを落ち着かせたあと,徐々に前方に上がり始める。周りに同じような人がいないので中々速度が上がらないが,それでも少しずつ前へ行く。すると後ろから130kmの集団が来る。「右開けて!」そう言われたら開けざるを得ない。右レーンに進路をとっていたが左レーンに写る。集団の切れ目を狙って右レーンに行こうとする選手がいれば「85kmは入って来るな!!」何もそこまで言わなくても。そう思いながら130km集団をやり過ごしていると,その中にはKSGさんとAIさんがいた。AIさんとはトンネルの話を交わしながら通過して行った。そして130km集団の最後尾に着いた。その最後尾は気づいたら85kmクラスの人が20人くらいいた。そんな中での最後尾。しかしさらに右レーンは空いてないから前方には上がれない。そして気づいたら中切れして130km集団は先に行っちゃったじゃん。。。
そんな状態で海岸線の先を見るとどうやら85kmの先頭は見えない位置まで行ってしまったようだ。何とか130km集団に近づけないかと右をこじ開けながら前方へ上がって行くと,もうすぐ与那の登りが始まる。もう既に遅し。与那の入口の前にshigeさんに追いつく。お互いの健闘を誓い私はさらに前へと伺う。しかしもう登り口はすぐ目の前。仕方が無いのでこのまま登ることに。この辺りの集団は最初の緩い登りも28km/h程度なのでそれほどスピートは上がっていない。急になってきたところで,前から降って来る選手と後ろから追い抜いて行く選手と混ざる。今年は脚がそこそこ残せたせいか降って来る選手の方が多いようだ。しかし見通しが効くところでもwemoもtoRideもいない。ダムへ一旦下り。集団の4人目の人がかなりマージンとって下っている。その前の人はもう見えない位置まで。そして後ろからたくさん追い越しがかかる。私もこの遅い人をさけて行こうとするが,後ろからの追い越しがたくさんかかるので中々パスできない。パスしたのは,補給所近くになったとき。
やっと補給所が見えてきた。一本ボトルを捨てて一本もらう。そしてダムを抜けて東側に出て右折。ここから高江までアップダウンの繰り返しである。
と,下り/平坦をやり過ごしたあとの登りが辛くなっていた。腰の筋肉が痛み始め,集団のペースでは登れない。平坦と下りは集団をキープできるが,短くても登りで離される。そんな感じで,登りがくるたびに集団から千切れ,下り始めると前には中々追いつけず,後ろの集団に乗せてもらう。そんな繰り返し。とくに高江に向かう長い登りは脚も回らず完全に一人旅状態。いつの間にか雨は上がっていて一人旅のときはほとんど水を感じなくなったが,下りや平地で集団に混ざると巻き上げられた雨(水?)で体中にシャワー(しかも砂が混ざったシャワー)を浴びたようだった。ずぶ濡れって本当にこんなことを言うんだろうな。。。
これがおきなわの洗礼である。おきなわの洗礼は,普久川のダムを登りきり,安波/高江でやってくるのである。洗礼の一つはアップダウンのようなインターバルのかかるコースレイアウト。ただ淡々と登りオンリーのヒルクライムレースは,負荷を一定に登って行けば良いのだが,アップダウンのあるコースになると,インターバル能力が向上していないとレースにならない。力の無い者を容赦なくふるいにかけるのだ。もう一つは,この天候がもたらした水しぶき。ただでさえ苦しいなか,雨と路面からの巻き上げで身体と自転車は水と砂/泥にまみれている。この過酷な状況もまた,おきなわの洗礼である。そして私はおきなわの洗礼に,とくにアップダウンのあるコースにやられて行くのである。。。
(つづく)